泡姫異世界転生(episode02)

girl in fantasy world エッチな小説
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作:星乃乙人

日本で風俗嬢として頑張って生きていた紗那(さな)は、ある日唐突に悲しい最期を迎えてしまいます。白狐と女神の導きで異世界へ、偶然にも源氏名とおなじエマとして生を受けた紗那は異世界で幸せを手にすることができるのでしょうか。皆さん応援してください。

入学式とお友達

王都ブルングルトには学園エリアのような地区がある。
その一角にワタシがこの度、入学を許された学園、トートニリア学園がある。
学園の由来は特に知らない。
日本の学校制度で言うなら、小中高一貫学校だ。
この国で、学園に通うこと自体が庶民には難しい。
職人や商人は見習いや徒弟として、実際に働きながら仕事を覚えるのが一般的なので、学園に通う必要がないともいえる。
しかし、パパはワタシを学園に通わせてくれた。
決して、口には出さないがかなりのお金がかかっているに違いない。
このブルンフィリア王国はカリッカリの貴族社会でもあり、商家の子供が学園に入学するには相当の寄付金と基準をクリアしなくてはならなかった。
前世で勉強する機会が与えられなかったワタシは今生では、真面目に勉強を頑張っている。
「頑張っている」とも少し違うかもしれない。
学ぶことが楽しいと思えるのだ。
このトートニリア学園は名門でありながら、商家の子供も受け入れ卒業生には貴族に勝るほどの財力を持った成功者もいる。
そういった前例もああり、この学園の生徒は今のところ、商家や新興の有力者の子供が3割。貴族が7割といった割合である。
それでも貴族の方が多数派なんだけどね。
初等クラスが12歳までの6年、中等クラスが15歳までの3年、高等クラスが18歳までの3年。
まるっきり、日本の小中一貫学校と一緒じゃね?
一貫校と言うものの、各クラスへ昇級するにあたり選抜があり、基準に満たないものはバッサリと切られるようなので貴族や商家にかかわらず勉学に励む必要がある。
(がんばるぞー!)

いよいよ、入学式典。
生徒だけでなく、父母も参加する。
パパもママも着飾って参加している。
こうしてみると、貴族連中は父母子共に美男美女が多い。
歴史的に権力者が美男美女の遺伝子を取り込んでいったということだと思う。
しかし、ひいき目に見てもうちのパパ様、ママ様は貴族に引けを取らない美男美女である。
「おお、あれは新興商家のハートマン夫妻だな。麗しいではないか」
とか、ひそひそ話が聞こえてくるたび鼻高々だ。
そして、ワタシも
「おお、ハートマン家のご令嬢もなんと愛くるしい」
と聞こえてくるたび、耳をゾウさんのように大きくして聞いてしまう。
ワタシの異世界転生は王族、貴族ルートではなかったけど、愛にあふれて恵まれた家族環境だ。
加えて、容姿端麗のスペックはとてもありがたい。
可愛いは正義である。
女神様、白狐さんありがとうと言いたい。
生徒は皆、制服を着用して参加。
そして、気付かされる現実。
貴族とそれ以外の生徒の差に。
貴族の制服には所々に輝く銀糸の装飾があり。
それ以外の生徒にそれがない。
まあまあ、露骨な差別であった。

テンプレなのか頭の薄い学園長の長い話と、見目麗しい生徒会長の挨拶を終えつつがなく入学式が終わった。

(さっさとパパとママと合流して、街を散策しながら3人で歩いて帰ろっと)
と思いつつ、パパとママを探す。

「もう!これだからウィードはどんくさいんだから!」
ヒステリックに響く、幼い怒声。
少女のものだろう。
そちらに目を向けると新入生同志でもめてるいるのかな?という場面。
それにしても「ウィード」って、雑草って意味だっけ?。
それもテンプレぽいな。
銀糸で縁どられた制服を纏って腕を組み、仁王立ちする美少女。
その少女の目の前で尻もちをついてオドオドするぽっちゃりめの小さな少女。
制服は一般生のもの。
「ごめんなさいです。ご、ごめんなさいです」
オドオドと必死に謝っている。
それにしてもオドオドしすぎである。
腕を組んでいた美少女も呆れて「ふん」とそっぽを向いて去っていった。

「大丈夫?」
ワタシは尻もちをついているぽっちゃり子ちゃんに手を差し伸べ起き上がるのを手伝った。
「ありがとう。貴族の子って周りに目もくれずまっすぐ進んでくるから、ぶつかりそうになって……」
「ホントそれ。わかる! そこのけ、そこのけって感じよね」
「あなたも一般学生なのね。私、フランチェスカ。ヨロシクね」
フランチェスカは右手を差し伸べた。
「私は『ウィード』のエマ。ヨロシクね」
ワタシも手を差し伸べ握手をした。
「でも、植物学では「ウィード」雑草だなんて区分、無いのに変だよね」
と続けた。
「はえー。エマ、ちゃんは物知りだね」
「いろんなお花や薬草を育てるのが趣味なの」
「魔法を組み合わせればお薬にもなるのよ」
「はえ~。エマちゃんはすごいね。あの……、お友達になってくれる?」
フランチェスカは不安そうに聞いてくる。
「もちろんよ。よろしくねフーちゃん」
「フーちゃん?うん、よろしくねエマちゃん」
いきなりフーちゃんは馴れ馴れしすぎたか?
(テヘ)

とにかく、フーちゃんが学園生活、お友達第一号になってくれた。

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