サセミちゃん

エッチな体験談
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エッチな体験談 風短編小説

今日はいきなり、自分語りをします。

私はと言うと、世間一般的にはヤリマンでメンヘラなビッチかな。

自分ではそのつもりはないけど……。

ヤリマンについては認めるけど……。

セフレが3人いて、ローテーションを組んで毎日のようにセックスしてる。

セックスしている時は、自己肯定感が満たされる。

メンヘラについてはと言うと……、21歳の時、統合失調症の診断がついて、心療内科に定期通院を続けている。

――やっぱり、世間一般的にみたらメンヘラで、ビッチやね。

私の統合失調症の症状は、クリニックで知り合った仲間たちと比べると、軽い方みたい。

頭の中で、声が聴こえるだけ――。

幻聴さんという症状だ。

実は子供の時から聴こえていて、高校生から20歳くらいにかけて強く聴こえるようになって、お母さんが心配して心療内科を受診したら統合失調症の診断がついたってわけ。

一番、幻聴さんの声が強いときは、周囲の人の心の声みたいのが、どんどん頭の中に流れてきた。

高校2年の、日本史の授業中に「私の事、エロい目でみるんじゃねえ!」って、突然絶叫した。

その辺から、コントロールできなくなって心療内科受診に繋がったってわけ。

正直、記憶も曖昧だけど。

向精神薬を服用すると周囲への暴言はなくたったけど、同時に気力も無くなった。

だから、大学進学は諦めて、福祉的な支援を受けて生活している。

今は、ボロいアパートだけど一人暮らしをできている。

ママはシングルマザーで、私が高校1年生の時に再婚した。

新しいお父さんはとても、優しい人だったけど、幻聴さんが「義父(パパ)がサセミとエッチしたいって、言ってる」とか、言い始めた。

幻聴さんは、時々嘘も言うけど、本当のことも言う。
時折、私が知り得ることのできなことも言い当てたりするので、あながち妄想とも言えないのだ。

だから、私は「何が本当で」「何が嘘」なのか分からなくなり不安定になった。

ママと新しいパパと、私が距離を置くのは必然だった。

家族と別々に暮らしたことと、並行して寂しさをセックスフレンドとのセックスで埋めたことで、私の精神は安定した。

実は私、処方された薬の半分くらいしか服用していない。

薬を飲んでも幻聴さんは変わらず聞こえていたし。処方どおり服用すると頭がボーっとして、あっというまに一日が終わってしまう。

セフレとセックスをすることで薬を少なくのすることが可能になっている(先生には内緒)。

セックス中は「サセミ可愛いね❤」「サセミエッチだね❤」みたいにオーガズムに合わせて、幻聴さんがエッチなことを囁ていくれる。

幻聴さんの言葉攻めと、肉体的な快感が合わさって私は多幸感で満たされるのだ。

セックスしているときだけは、心を安定させることができる。

なんとなくだけど、私の幻聴さんて霊的な何かだったりするんじゃないかという思いもある。

だって、薬飲んだって、完全に聴こえなくなるわけじゃないし。

まあ、何はともあれ私は幻聴さんと付き合いつつも、セフレたちとの関係を続けていた。

だけど、先日セフレの一人とトラブルになった。

とても、怖かった。

トラブルになったのは3人のセフレのうちの自称警察官のゴリさん。

自称警察官というのも、私はゴリさんのことを疑っているからだ。

だって、エッチの最中に私に婦人警官のコスプレを着せて犯すようにエッチしたり、自分も警官のコスプレをしたり、本人は本物って言っていたけど警察手帳を見せつけたり、世間に疎い私でも「ちょっと、変?」と思えるところがたくさんある。

私は、毎日でもエッチがしたくて、セフレ3人とローテーションのようエッチしてたから、ゴリさんとも週2でエッチをしてた。

だけど、ゴリさんのエスカレートする乱暴なエッチにだんだん恐怖を感じるようになった。

先月くらいから、エッチしている最中に幻聴さんがずっと、「サセミを犯す!サセミを犯す!サセミを犯す!」と頭で鳴りっぱなしで、オーガズムどころか恐怖で身体が硬直するほどだった。

そんな、私の怖い気持ちなんて気付くこともなく、ゴリさんはバックで乱暴に突いてきて、お尻にバチンバチンって音がなるほど腰を打つ突け「このビッチ、イケ!気持ちいいのか?気持ちいいって言え!」とお尻を叩きながら独りよがりのセックスをされた。

セックスが終わった後、涙が溢れてきてゴリさんに「もう、ゴリさんとのエッチ怖い」と伝えた。

そう言うと「ごめんよ、サセミちゃんがエッチだから興奮してつい……、今度から優しくするから」と言ってくれたけど、次の次からは乱暴なエッチに逆戻りした。

ゴリさんの暴力的なエッチの最中に幻聴さんが「もうやめろやめろやめろヤメロヤメロヤメロヤメロヤめロ!!!」と、サイレンみたいに頭で響いていて、私も何がなんだか分からくなり、エッチの最中にゴリさんを蹴とばして抵抗した。

逆上したゴリさんは、力づくで私を組み敷くと、正常位で私を犯した。

ゴリさんの力が強く、顔がまるで鬼のようで、恐ろしくて私は目を瞑って「早く終われ、早く終われ」と唱え続けた。幻聴さんの声もサイレンみたいに鳴り響いていた。

ゴリさんは、コンドームを着けずに私の中で果てた。

――――――

「どうした? サセミ?」

気が付くと、私はセフレの田中ッチのアパートの部屋の前でインターホンを鳴らしていた。ドアを開けてすぐに田中ッチは私を部屋に入れてくれた。

ゴリさんに犯されたあと、怖くなって、ゴリさんの部屋を飛び出した。途中、なんども転んで膝も顔も傷だらけだった。乱暴されてできた痣なのか転んでできた痣なのかわからないくらいだった。

「大丈夫か?傷だらけだけど……」

シャワーを借りて、身体を隅々まで洗った。浴室から出た私を田中ッチはフワフワのバスタオルで包んでくれた。

いざって時のために持っていた、不安が強くなった時に服用する頓服を服用して少し落ち着いた。

「急に来てごめんね……」

気持ちが落ち着くと、田中ッチに謝った。

「何があったか、話せるか?」

訥々と、時系列もめちゃくちゃだったけど、ゴリさんにされたことを田中ッチに話した。話しているとまた、とめどなく涙があふれきた。

田中ッチは、ティッシュを箱ごと渡してくれ、黙って訊いてくれた。

涙と鼻水でティッシュを一箱使い切るかと思った。

全部話し終わると田中ッチが言った。

「サセミはそいつをどうしたい?」

「わかんない、でも、もう会いたくない……」

田中ッチは、静かに私を見つめていて感情は読めなかった。

幻聴さんも静かになっていて、二人だけの空間は沈黙に包まれていた。

「俺もそのゴリという男が大嫌いだ。この間はお前に助けてもらったから、今度は俺がお前を助けてやる――」

田中ッチが沈黙を破るように言った。

「田中ッチ――。アリガト……、でも危なくない?ゴリさんは身体も大きいし、話して分かるような感じじゃないよ」

「まあ、方法はこれから考えるけどな」

「今度は私が報酬を払わないとね。10回連続フェラでイかせてあげよか?」

「バカ!赤玉出るわ!」

「――ふふふ」

田中ッチと話していると、なんだか温かい気持ちになる。

「いっぱい泣いたら、今度はいっぱい笑え!」

そう言うと、田中ッチは変顔をした。

「ふふふ、変な顔」

私も負けじと変顔で応酬する。

「おま!ふふふぁ、ははははは!」

お互い変顔を見せあいながら、くすぐりあって、笑いあった。

深夜なのに近所迷惑だったかも。

翌日、田中ッチは仕事を休んで、婦人科に連れて行ってくれた。

アフターピルを処方してもらって、妊娠の不安から解放されると気持ちが楽になった。

「今日は仕事休んだから、一緒に居られるけどどうする?」

「アリガト……。一人で居たくない」

田中ッチの部屋に二人で帰ると私たちは昼間からエッチをした。

やっぱり、私はセックス依存症なのかな、あんな怖いことがあったのに……。

いっぱいキスをして、いっぱいクンニをしてもらった。

何度もイキながら、温かい気持ちになった。

しおしおに枯れかけた自己肯定感に水が注がれる。

幻聴さんがめずらしく歌っている。どこかで聴いたことのあるメロディーで、歌詞で――。

――それは愛の歌だった。

数日後、私は、ファミレスでゴリさんと会うことになった。田中ッチがセッティングしてくれ、立ち会ってくれた。

ゴリさんはテーブルに頭をこすりつけ、土下座するように詫びた。「ごめんなさい。ごめんなさい。赦してください。コクソしないでください」とよくわからないことを繰り返し言ってた。

そして、迎えに来た黒いスーツを着た強面のお兄さん二人組にがっちり両側を固められてファミレスを出ると、停めてあったこれまた黒づくめのバンに乗せられて去っていった。

あっという間の出来事で、思考が追い付かなかった。

「――ゴリさん、どうしたの?」

「まあ、あれだ。極寒の海にカニ漁の旅に出たってところだな」

「カニさんを捕りに行ったってこと?」

「あいつ、借金だらけで闇金にも手を出してたらしい。まあ、自滅してたってとこ」

「難しいことはわかんないけど、アリガト――」

この事件のあと、私は田中ッチと同棲することになった。

同棲を始める前に、もう一人いたセフレとはもう会わないと告げた。

50代のおじさんで、「残念だけど、彼氏ができたんなら仕方ないね」と引き下がってくれた。

そう、田中ッチは私の正式な彼氏になったのだ。

私は田中ッチのタイプじゃないと思ってたから、正直嬉しかった。

田中ッチのお部屋でソファに並んで座り、身体を寄せ合いながらテレビを観る。

「ねえ、ホントに私でいいの?」

私はおもむろに田中ッチに訊いた。

「えっ?サセミは自分で思っている以上にイイ女だぜ」

「ホント?嬉しい――。私のこと、ハンドルネームじゃなくてサトミって呼んでくれる?」

「いいよ。サトミ」

「ケンちゃんって呼んでいい?」

「ああ」

ケンちゃんの、胸に頭を預ける。

私の頭をヨシヨシといった感じで撫でてくれた。

クンニをされているときみたいに自己肯定感が満たされる。

(そうか、本当はエッチしなくても満たされてたんだ……)

「今日はエッチする?」

「俺はちょっと、徹夜明けだし、酒飲みすぎて起たないかもだけど……、クンニでもしてやるか?」

「ケンちゃんが良ければだけど、このまま、ヨシヨシしてもらいながら眠りたい……」

「ああ、いいよ――、俺も何だか眠くなってきた」

「じゃぁ、アタシもケンちゃんをヨシヨシしてあげる」

私たちはお互いに頭をヨシヨシし合いながら眠った。

今日も幻聴さんが歌を歌ってる。

それは、優しいバラードだった――。

――完――

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