エッチな体験談風 短編小説
「ねえ、ねえ、あと一人ジミムラさんに声かけてみる?」
「えぇ~、さすがにジミムラさんは違くない?」
「でもさ、ヨッチのドタキャンで一人足りないよぉ」
ディスカッションが終わり教授が退席すると、同じゼミの合コン大好き3人娘が今晩の合コンの作戦会議を始めた。
ワタシを誘うかどうかを、決めかねているみたいだけど丸聞こえだ。
「欠員はやっぱり、失礼じゃない?〇大の医学部だよ、将来のお医者様よ、一人足りなくて機嫌損ねたらマズイっしょ」
「それに、ジミムラさんならライバルにならないし、ハズレの子いたらこっそりパスすればいいし」
「声かけてみる?断られたら仕方がないし」
「だね」
ワタシを誘うことで、方向性が決まったみたい。
「ねえねえ、ジミムラさん。今晩、〇大の医学部の子たちと合コンあるんだけど一人足りなくなっちゃって~」
――うん、丸聞こえだったから知ってる。
「もし、ダメなら無理にとは言わないけど――」
「行く!」
「「え!」」
「――え?、ああ、ありがと、じゃあお店と場所は後でラインするね」
3人とも、合コンに興味の無さそうな地味なワタシが即答で「行く」って言ったことに面食らってた。
でも、ワタシには今日、合コンに行く理由があった。
ワタシが尊敬してやまない占い師のアマガラス先生が今日の占いで「合コンに誘われたらGO」とおっしゃっていたのだ。
だから即答で「行く」と答えた。
正直、合コンに行って何がどうなるかまでは分からないけど、アマガラス先生のアドバイスでワタシは少しずつ変われた。だから、今回も一歩踏み出してみようと思った。
◇
あまり合コンに参加したことのないワタシでも分かるくらい、その日の合コンはカオスだった。
結構おしゃれなお店だったけど……。
相手の男性は4人中、3人がモラハラにブサメンを掛け合わせた強烈なキャラクターだった。
女性蔑視、高齢者を見下すような発言……。
最後の一人は、イケメンの外崎(とのさき)くん。
この外崎くんは、イケメンでノリも良くて、話す内容も楽しくて他の男性メンバーとは全然違って素敵な感じ。3人娘は最初、競うように外崎くんに詰め寄ったけど、実は彼もぶっ飛んだキャラクターで次第に引いていったのだった。
「俺は、前世宇宙人だから今生ではさぁ、医者になって地球人の身体データを収集するのが使命なわけ」
最初、ネタだとみんな思ってたけど、60分間彼はブレることなく宇宙人としての使命を語った。
3人娘が、化粧室に立って帰ってこない。1分くらいしてワタシのラインにもメッセージが来たのでワタシも化粧室に向った。
お店が入っているビルにはフロアごとにお客さんが共通で使える大きな化粧室があって、3人はそこで作戦会議を開いていた。
「もう、ほんとヨッチのヤツぶっ殺す~」
愚痴を通り越してかなり穏やかじゃない感じだ。
「アイツ、セッティングしたくせにドタキャンしたの、なんかおかしいと思ったけど、理由分かった――」
全開でブチ切れている。
「ごめんね~、ジミムラさん。無理して来てくれたのにハズレで~。まあ、アタシら理由つけて1次会で解散にするから~、乙でしたぁ~てことで」
この作戦会議のあとの3人娘の撤退戦は見事だった。
「ホント、楽しかったけど~。今日はごめんなさーい」
と両手を合わせ、眉を八の字に歪ませ有無を言わさず去っていった。
モラハラ男3人も、「チッ」と舌打ちをして帰っていった。
彼らが医者になったら患者にはなりたくないと思った。
逃げ遅れたワタシと、外崎くんが残された。
「ねえ、ジミムラさんは下の名前なんて言うの?」
おもむろに外崎くんが訊いた。
「あっ、えと、トモカです」
「トモカちゃんかー、可愛い名前じゃん」
「あ、アリガト――」
「じゃあ、トモカちゃん。これから俺と異文化交流しよ」
「異文化交流?」
「そっ、俺は地球人の女の子といっぱいセックスしたいんだぁ」
「っちょ!」
ワタシ達が今、話しているのはお店の前で人通りもまだ多く――。そんなところで、躊躇なく「セックス」というワードを口にするから、慌てた。
「じゃ、行こ」
外崎くんはワタシの手を引き歩き出す。
初めて男の子と手をつなぎ夜の街を歩いた。
お酒が飲める歓楽街には決まって、ホテル街が近い。
外崎くんは慣れた足取りでホテル街を進み、見かけは少し古い感じのホテルに入った。
(そう言えば、ワタシ、なんの抵抗もなく付いて来たな……。このまま、流されるようにエッチしちゃうのかな?)
「やった!トモカちゃん、俺のおすすめの部屋が残ってたラッキー!」
外崎くんは、これからエッチなことをするという気負いも罪悪感もないのだろう、変わらず明るい調子だ。
まるで、カラオケやボーリングを一緒にするみたいなノリだった。
二人でお部屋に入る。
「わあ!」
つい、ワタシは感嘆の声を上げた。ドラマや映画で見たことのある貝殻デザインのベッド。
「可愛いでしょ。ねえねえ、こっちも見て」
そう言って、ワタシの手を引き浴室へ誘う。
前面、ガラス張りの浴室の中にはこれまた貝殻デザインの浴槽がある。
「可愛い……」
「でしょ。トモカちゃん、こういうメルヘンな感じ喜んでくれると思ったんだぁ」
ちょっと、どこかで憧れていたのはホント。
外崎くんは貝殻の湯船にお湯を張り始める。
「お湯入るまで、一緒にエッチなビデオでも観る?」
屈託のない笑顔は無条件の安心感を与えてくれる。
お湯が入ると、一緒に貝殻の浴槽の中でイチャイチャした。
「トモカちゃん、人魚みたいだね」
嬉しい――。でも、ワタシなんかが人魚だなんて――。つい、ネガティブな自分が顔を出す。
「どうして、ワタシなんかを誘ってくれたの?今日の4人の中でワタシが――」
ハズレだ――。そう言おうとして、途中で言葉が詰まる。
「自分を傷つける言葉は、口にしないほうがいい――」
外崎くんは少し怒ったような表情を見せたが、すぐ笑顔になり言った。
「4人の中でトモカちゃんが一番オーラの色が綺麗だったよ」
――ああぁぁ……。今、ワタシきっと顔真っ赤だ――。宇宙人はこういう風に女を口説くのか――。
お風呂から上がり、貝殻のベットに横になる。
覆いかぶさるようにイケメンの外崎くんがうっとり裸の私を見つめる。
恥ずかしい……。
ふと、横に視線を向けた。
ベッド横の大きな鏡がワタシ達を映している。
イケメンの男性の前に横になっている。ホクロの多い顔と身体……。
一瞬で魔法が解ける。
ワタシは自分の顔を両手で覆った。
「どうしたの?トモカちゃん?」
「ワタシ、自分の顔も身体も大嫌い……」
「あっ!トモカちゃん――」
外崎くんは、ワタシのオッパイの上あたりから脇の下…… 点と点を結ぶように指で愛撫する。
「ひゃっ?」
「見て見て!」
ワタシに鏡を見るように促した。
「ほら、こことこことここと、結ぶとおうし座。そして、じゃあ、ここが俺が昔住んでいた星だ!」
プレアデス星?スピリチュアルの本でプレアデス星人は霊性が高くて優しいって読んだことある。
本当に宇宙人なの?それともそういう設定?どっちでもいいか――。
この胸の奥の温かい気持ちを大切にしたい。
「宇宙にはさ、目が6個もある蜘蛛の宇宙人とか、昆虫みたいに硬い殻に覆われた女の子とか、ほんと色々だよ」
「ホントに?」
「地球の女の子はみんな、柔らかくて、可愛いよ。トモカちゃんも色白だからホクロが目立つだけ」
そういって、優しくワタシのオッパイを愛撫したあと、腰、太もも、ふくらはぎも愛撫した。
「気持ちいい――」
「トモカちゃんのお肌、すべすべでもちもちだよ」
外崎くんの愛撫のすべてが優しい――。
気が付くとワタシの頬を涙が伝い筋となる。
心配した外崎くんは、ワタシの横に身を寄せると抱き寄せて、布団をかけてくれた。
「ワタシね……。初めて付き合った彼から抉られた心の傷が、まだ癒えてないのかも……」
「もし、トモカちゃんが嫌じゃなかったら教えて」
外崎くんは、これからエッチを始めようという間際での、女の自分語りを嫌な顔せず聴いてくれる。
彼の胸に顔を埋めながら、ワタシは訥々と語った。
高校の時付き合った彼は、付き合うとすぐに身体を求めてきたこと。
求められれば、所かまわず身体を許したこと。
放課後の学校、プールの着替え室、ショッピングモールのトイレ……。
濡れる前から挿入され、彼がイクまで歯を食いしばって耐えていたこと。
ある時、部活帰りの彼を校門の傍で待っていた時、彼と彼の友達の会話を聞いてしまい、それから男性不信が心の中に灯ったこと。
彼の友達が言った―― 「お前の彼女、何処でもヤラせてくれるんだろ? 正直、羨ましいぜ」そして、彼が答える「まあ、それくらいしかとり得ないからな。ヤラせてくれなかったら付き合う価値ないっしょ」
ショックで彼に、問い詰めたら、逆にあっさりフラれた。
彼の最後の言葉は「めんどくせー」だった。
思い出しながら、とめどなく涙が頬を伝う。
自分の心の中でそっと蓋をしていた過去。
外崎くんはティッシュの箱に手を伸ばし、ワタシの涙を拭きながら抱きしめてくれた。
……なんだか、心地が良くてそのまま眠ってしまったみたい。
――――
外崎くんも私を抱きしめた状態でスヤスヤと眠っている。
時計を見ると、休憩時間はあと1時間といったところだった。
宇宙人で不思議な外崎くん――。
彼に無性にお礼がしたくなった。
彼の唇に唇を重ねる。
「ちゅ」
彼が目を覚ます。
「う~ん、あっ、トモカちゃん、すっきりした?」
「うん、ありがとう……、ワタシね、外崎くんとエッチしたい――」
「――うん、俺もトモカちゃんとエッチしたい」
再び唇を重ね、今度はねっとりとお互いの舌を絡ませる。
キスが気持ちいいと感じたのは初めてだった。
ちゅ、じゅ、ちゅ、ちゅ、
彼のペニスが熱を帯びムクムクと膨らみワタシのお腹辺り当たる。
「待ってね」
そう言って、外崎くんは布団に潜り込むと私のオマ〇コに顔を埋めた。
「トモカちゃんのオマ〇コから、エッチな匂いがする」
そう言って、クンニを始める。
「――恥ずかしいよぅ」
ちゅ、じゅ、ちゅ、じゅる、ちゅ
こんなに優しく、オマ〇コを舐められたの初めて――。
外崎くんはエッチな音をたてて、クンニを続ける。
クリトリスを優しくタッピングしたあとは、膣口から舌を忍ばせレロレロと愛撫する。
ピリピリと優しい快感のしびれが全身に流れ、人魚になって海を泳いでいるみたいな心地になる。
「すごいよ、トモカちゃん、エッチな汁が溢れてくるよ」
じゅぽ、じゅぽ、ちゅ、ちゅちゅ
「あん❤あぁぁぁぁ――」
私の身体はびくん、びくんと脈動して硬直する。
(――ワタシ、イったの?)
「感じているトモカちゃん、とても綺麗だよ――」
「ワタシ、こんな感じたの初めて、すごく気持ち良くてフワフワするの」
「一緒にもっと気持ち良くなろう」
「うん、もっと気持ち良くして❤」
「じゃあ、トモカちゃんと繋がるよ――」
「入れる」じゃなくて「繋がる」という言葉が優しい――。
「トモカちゃんのオマ〇コすごく、ヌルヌルでエッチだよ」
そう言って、外崎くんのペニスがワタシの中にゆっくりと入ってくる。
そして、ワタシと外崎くんは繋がった。
「あっ、あん❤、繋がった❤」
ヌレヌレのワタシのオマ〇コは抵抗なくペニスを受け入れる。
(セックスってこんなに気持ち良かったの!)
「ちゅ、じゅ、ちゅ、トモカちゃんの唇、とっても柔らかくて気持ちいいね」
唇も重ね、唾液を交換する。
唇とオマ〇コが繋がり、エネルギーが無限に循環する。
「あっ、あん、あっ、❤❤❤❤あ”っ」
(来る、来る、何かが来る――)
子宮がきゅん、きゅんと収縮して何処か身体の奥底? から光が迫ってくる――。
外崎くんのペニスがワタシの子宮にキスしている。
「あぁぁぁぁぁあ”あ”あ”❤」
「イクよ!トモカちゃん――」
「うん、いっちゃう❤、イクの!」
「「イク、イク、イク、イク、イク、イク!!」」
宇宙?無限の星々――
ワタシは初めてオーガズムを体験した。
「見えた?宇宙」
「うん、ホントに素敵だった――」
蕩ける様なセックスの後、あまりに嬉しくてアマガラス先生の占いサイトを開いて、レビューを書き込んだ。
「先生のアドバイスのおかげで、初めてオーガズムを体験しました❤」
「トモカちゃんも、僕の占い、見てくれてるんだ。レビューアリガト」
外崎くんがスマホを片手に言った。
「えっ?」
「副業で始めた占いサイトなんだけど、当たるって評判になってきて」
彼が続ける。
「僕がアマガラスだよ」
彼の名前は外崎 天人(とのさき あまひと)、ワタシが尊敬する占い師アマガラス先生だった。
――アマガラス――
外崎くんが教えてくれたけど、宇宙を渡るカラスがいるんだって。
この広大な宇宙の星々を渡るカラスの姿を想像すると、街中で見かけるカラスもなんだか神秘的な存在に見えてくる。
「じゃあ、トモカちゃんまたね。エッチしたくなったらいつでも呼んでね」
「コ、コラ! 外崎くん――」
とは言え夜夜中(よるよなか)、ホテル街は人通りが増えてきたところだ。あわてて、外崎くんを制止する。
外崎くんはワタシを最寄りのバス停まで送ってくれ、そこで別れた。
彼とセックスして、ワタシの心の中の澱が溶けていった――。彼のことをもっと、もっと知りたい――。あわよくば、彼女になりたいとも思う。
(だけど……)
彼は、宇宙人……。きっと、ワタシみたいな心に傷を負った女の子をこれからも救っていくのだろう……。
バスの車窓から、遠くのビル街から空へと駆けるカラスの一団が目にとまる。
(ひょっとしてアマガラスかしら――)
(だけど、男の子とのエッチがあんなに素敵な行為だったんなんて……)
オーガズムの瞬間を思い出した丈で、お腹の奥がキュンとした。
灰色だった夜の街が、キラキラと色付いて宝石をちりばめているように綺麗だった――。
――完――