作:星乃 乙人(ほしの おとひと)
日本で風俗嬢として頑張って生きていた紗那(さな)は、ある日唐突に悲しい最期を迎えてしまいます。白狐と女神の導きで異世界へ、偶然にも源氏名とおなじエマとして生を受けた紗那は異世界で幸せを手にすることができるのでしょうか。皆さん応援してください。
プロローグ
「はあ、気持ちいい~」
紗那は両手を天へ向けて伸ばし、つま先立ちで全身をぐっと伸ばした。
「はあ~、疲れが溶ける~」
紗那が今いるのは、小さな神社の境内。都会の中心部にありながら、木々に囲まれ静寂な秘密の場所。
休日の早朝ランニングの最後は、ここへ来てストレッチをするのが日課だった。
彼女が着ているランニングウェアは若者らしく身体にフィットしたデザインで紗那の女性らしいボディラインを強調している。
髪形はよく手入れされた茶色のミディアムヘアを今日はポニーテールにしている。やや気の強そうな釣り目ではあるが、大きくて潤みを帯びた瞳は、子狐のような愛らしさもある。よく通った鼻筋に小さな艶やかな唇、口角は上がっておりにこやかな表情を帯びた美人である。
身長はそれほど高くないが、顔が小さく多足が長いためモデルのようにも見えるスタイル。胸は形の良いお椀型で健康的に張り出しており、腰は美しくくびれキュッと上がった大きな尻へとつながっていき、引き締まった細い太ももから、鍛えられたふくらは美しい曲線で形作られていた。
女性の身体の美しさを意識して、維持されていることが伺える。
一通りストレッチを終えると紗那はお社の前に鎮座する石像へ向かった。
「狐さん今日もお邪魔しました」
そういって、飴玉を包装から出して石像の台に置いた。
紗那はこの狐の石像が好きだった。細い身体を背筋を伸ばし座っている姿が愛らしくもあり凛とした美しさもある。
あとは拝殿で手を合わせ帰ろうとした矢先。突然、後ろから男の声が発せられた。
「エマちゃん、酷いよ。警察に通報するなんてあんまりだよ」
男は紗那が働いている風俗で1ヵ月前まで上客だった男だ。
「たかし君、ダメだよ。警察でも、もう近づかないって約束したよね?ねっ、落ち着いて――」
紗那も店でナンバーワンにまでなった風俗嬢である。金払いが良すぎる上客のコントロールには気を配っていたつもりだ。しかし、目の前の男は複数の消費者金融からお金を借りながらも紗那を指名し続け、お金が底をつくとストーカー化してしまった。
男の目は血走っており、正気じゃないことは即座に分かった。左手に持っていいる布でぐるぐるにまかれた塊が、奇妙な存在感を放っている。
「しっかりとお金を返して。自分のお金でお店に遊びに来て。ね、たかし君……」
「う、うるせー淫乱女!お前なんかに、使うカネはもうねえんだよ!」
左手に持っていた、布巻きから大きな包丁を手に取った。
「いや!やめて、お、落ち着いて――」
紗那は刃物を向けられた瞬間、恐怖で足がもつれ尻もちをついた。
素早く、男が距離を詰める。
「エマちゃん。綺麗だよ。恐怖で泣きじゃくるエマちゃんも最高に綺麗だよ」
男は覆いかぶさると、強引に紗那のトレーニングウェアを脱がし、トレーニングパンツとショーツをいっしょにずり下げいっきに脱がした。
男も自分のズボンを下げ、勃起した男根を晒した。
(―― 少しの時間、我慢すればいいの)
恐怖で硬直した身体を小刻みに震わせながら紗那は思った。
紗那の秘部に頭をうずめ、唾液を塗りたくるように舐め上げ膣口を濡らし、男は強引に挿入してきた。
「エマちゃん。ああ、エマちゃん。初めてゴムなしで繋がったね。ああ、暖かいよぅ」
自分勝手に、腰を打ちつけて男は勝手に悦に入っている。
紗那は自分の硬直した身体が疎ましいと思いつつ時が流れるのを待った。
(快楽で、男を支配しているつもりだったけど……。こいつらはワタシたちを暴力で簡単に支配する――)
紗那は本当の父を知らない。シングルマザーで紗那を育ててくれていた母も紗那が小学4年の時に再婚。最初優しかった義父もすぐに母と紗那を暴力で支配するようになった。高校を卒業してすぐ家を出て風俗で稼いだ。男の感情を支配し快楽を与え、心のどこかで「馬鹿な奴ら」と冷めた自分がいた。
風俗嬢に貢いで、目の前の男のように、身を滅ぼす輩が一定数いることには気づいていた。
(報いなの?でも、罰を受けるほど悪いことしてない!)
涙がとめどなくなく溢れてくる。
「あっ、イク、イクよ!エマちゃん!」
男が自分勝手に果てた。
紗那の意識は恐怖から怒りへと転換し爆発する。
「死ね!ブタ!」
男を睨みつけそう言い捨てた。
「そうだね。いっしょに死のうエマちゃん――」
「――っつ!」
男は躊躇なく、紗那の心臓に包丁を突き立てた。
視界が幾度となく暗転し、それがおさまると明滅し意識が飛んだ。
◇
フィルターのかかったような薄暗く、時間が止まった世界に紗那はひとり地面に座っている。
横には血まみれの自分に覆いかぶさったまま止まっている小太りの男。
「我ながらサイテーの最期ね」
紗那は独り言をこぼす。
「そうだね」
いつの間にか、目の前に美しい白狐が座っている。ルビーのように輝く赤い目に尾は9本。
狐は続ける。
「ボクの神域を穢されて困るよ」
「ここの神様なのね。ごめんなさい」
「君は悪くないよ。悪いのはそこのブタ野郎」
そう言って白狐は鼻先を時間が止まっている状態の男へ向ける。
「そうね……。こいつも死んだの?」
「いや、こんなところで死なれちゃ、僕の寝床が穢れるから意識を刈り取ったんだ。まあ、一生、病院で過ごすことになるだろうね」
『ざまあみろ』と言う感情と『哀れ』という感情がぐるぐる混ざりあって湧き上がる。
「問題は君の魂なんだ。穢れを受けすぎたせいで、このままだと地縛霊になって輪廻の枠に戻れない――」
「……。なんか、突然のことでよくわからないわ」
「だよね。ちょうど友達の神様から『おもしろい魂があったら紹介して』って頼まれてたので、紹介しようと思ってるの」
「えぇぇ……。魂に紹介制度があるの?」
「まあまあ、そんな怪しまないで。この世界よりもちょ~っと、ましな世界だからさ。魔法もあるし少しは面白いと思うよ」
「異世界転生ってやつ?」
「まあ、そんなところ」
「チートある?」
「チート?前世の記憶と知識は持ち越せるよ」
「ワタシ、馬鹿だから、風俗の知識しかないよ」
「まあ……。風俗の知識も立派なスキルさ」
「狐さん、気使ってない?」
「ない、ない」
そう言って、白狐はプルプルと首を振る。
「まあ、地縛霊よりはましか……分かった――」
と言い切るや否や
「じゃあ!契約成立!」
と白狐の掛け声と同時にシュッと意識が途切れた。
◇
目を開けると金色に輝く雲の上にクリスタルのような半透明な石で組まれた美しい神殿の入口の前に立っていた。
「綺麗な神殿。異世界?」
神殿を見上げていると、大きな扉が音もなき開き、中から美女が飛んできた。ふわふわと宙に浮かびながらものすごい速さで目の前に来た。
「お稲荷ちゃんの紹介してくれた子ね。初めましてこの世界の女神アルファですわ。前の世界ではお辛かったですわね」
優雅で美しい見かけとは違ってやや落ち着きのない女神である。
「はい。紗那と言います」
「うん、うん」
女神は紗那を優しく抱きしめた。ふんわりと香る花の匂いと、柔らかなぬくもりが心地よい。
「たいへんな幼少期を過ごされ、若くしてエロティシズムを極めたのですってね」
「極めたなんて、そんなたいそうなものではありません」
「この世界で存分に力を発揮してくださいませ!」
女神がそう耳元で囁くと紗那の意識体が光に包まれる。
「でも忘れないで、最期にあなたを救ってくれるのは〇〇なのだから……」
そう、最期に告げ女神は紗那の額にキスをした。
同時にまた、意識が途切れた。
◇
目を開けると彫りの深い西洋風の茶髪の男と金髪の美女が自分をのぞき込んでいる。
「おっ、目を開けたぞ!見えるか?パパでちゅよー」
「キラキラした青い目。なんて可愛いの」
どうやら、パパとママと言うことらしい……。上品な美男美女である。
「君の名前はエマだ。『エマ!』なんて、可愛いんだ」
ワタシの名前は『エマ』と決まっていたらしい。源氏名といっしょだなんて不思議だ。
「ほっぺたがぷっくりしてかわいいなあ」
といって、パパがほっぺたをつんつんして可愛がってくれたのでお礼にパパの指を指フェラしてあげた。
「おっ!お腹すいてるのか?」
ちょぱ、ちゅぱ、じゅ。
「な、なんか、この子の動き……」
「いやだ、あなた。赤ちゃんに対して――。お腹すいてるよ」
そういってママがワタシを抱きかかえ乳房を出し、乳首を口元に近づけてくれる。
透き通るような白い乳房がお乳を蓄え大きく張り出している。乳首は赤ちゃんが吸いやすいようにピンと立っていた。
なんとも美しい乳首なのでいやらしく吸ったり、舌で転がしたりしてあげた。
「いやん。この子の吸い方気持ちいいん」
ママが悶えた。
お腹がすいたので、いたずらはほどほどにして母乳をいただいた。
テヘペロ。